リールを長く愛用していくにはオーバーホールというメンテナンスが必要となってきます。今回釣りラボでは、オーバーホールについてメーカーに依頼する場合の料金や、自分自身でオーバーホールを行う際の道具や手順を詳しく解説します。
オーバーホールとは?
オーバーホールとは、英語の「OVERHAUL」のことで、英英辞典によれば、「点検し、必要に応じて修理するために、機械または設備の一部を分解すること」と説明されています。
性能維持のための日常のお手入れに相当する行為は「MAINTENANCE(メンテナンス)」といいますが、オーバーホールは日常のメンテナンスでは手を入れることができない深部・細部に溜まるスラッジ(汚泥)や錆など、動作不良につながる原因となるものを分解して洗浄・除去し、劣化した部品は新品と交換したりして、新品時の動作フィールに限りなく近づける、大規模な保守点検・修理のことをいいます。
オーバーホールの頻度
リールのオーバーホールの頻度については、正直なんとも言えません。
などにより、オーバーホールの推奨頻度は変わります。
概ね、釣行回数が多ければ(週1回以上)、年に1回、それ以下なら2年に1回といったところでしょうか?
なお、これは釣行後に毎回、少なくとも洗浄・乾燥・注油が正しく行われていることが前提です。
また、使用中に違和感を感じた時は早めにオーバーホールに出したほうが良いでしょう。
オーバーホールをメーカーに頼むときの値段
オーバーホールは、ダイワ、シマノから、アブガルシアなど、メーカーにリールを送付してやってもらう方法と、メーカーとは関係のない、専門のメンテナンス会社に出す方法があります。
基本はリールをオーバーホールを依頼する会社に送付して、見積りを取ります。
メーカーに依頼する場合は、釣具店に持ち込めば受け付けてもらえます。
メーカーとは直接関係のない、メンテナンス専門の会社も多くあります。
東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡などに多く存在します。
しかし、こうしたメンテナンス会社は玉石混交で、価格や預ける期間もさまざまですので、失敗しないためにも、安さだけでなく、信頼の置ける会社をしっかり見極めて出しましょう。
各社とも、リールの種類、作業内容によって、いくつかコースがあり、コースがごとに作業の基本料金と、作業の上限料金が決められています。
交換パーツがあった場合は、部品代は別料金で、「基本料金+技術料+部品代」がオーバーホール料金となります。
電動リールの場合は別途「電動料金」がかかります。
ショップに持ち込めば、だいたいいくらくらいかかるのか、概算を教えてもらえます。
シマノのオーバーホール料金
シマノのオーバーホール料金(スピニングリールの場合)を見てみましょう。
リールのタイプをによってコース数、各コースの料金が違いますが、スピニングリールの場合は、スペシャルメンテナンスの特Aコースから検査・注油のみのDコースまでの5コースあります。
シマノ・カスタマーセンターによれば、Bコースが基本コースのようです。
特A、A、Bのいずれかのコースをオーダーするのが良いでしょう。
Bコースの基本料金は、リールのグレードにより、3,100円のものと3,600円のものがあります(基本料金を含む作業料金上限は10,000円)。
ダイワのオーバーホール料金
ダイワのオーバーホール料金(スピニングリールの場合)を見てみましょう。
グローブライト(旧・ダイワ精工)からアフターサービス部門が分社独立した、(株)スポーツライフプラネッツがオーバーホールを担当しています。
分解洗浄・回転性能のチューニングを行うスタンダードコースと、ゴリゴリ感などの異常がある際の調整が必要な場合のプライムコース、作業担当者が精査した上でどちらのコースで作業をするか決めるおまかせコースの3コースがあります。
スタンダードコースの基本料金は、基本料金3,500円となっています(基本料金を含む作業料金上限は11,000円)。
自分でできるオーバーホールの方法
メカに関する知識が豊富で、分解・組み立てに必要な工具がすべて用意でき、手先が器用な人は、ご自分でオーバーホールにチャレンジしてみましょう。
※自分で分解してしまった時点で、メーカーの保証の対象外になりますので注意しましょう。
オーバーホールに必要な道具
オーバーホールに必要な道具を紹介します。
これらの他に、脱脂剤(パーツクリーナー)、グリス、オイル(油脂は取扱説明書を確認し、指定の油脂を使うこと)、パーツを並べるトレイ、歯ブラシ、綿棒、爪楊枝などがあると便利です。
【ホーザン】先曲がりピンセット カーブタイプ
リールの分解には非常に小さいパーツを正確に扱うため、かみ合わせが良く、小さなパーツを掴んだ際、落とすことのない、精度の高いピンセットが必須です。
【ベッセル】精密ドライバーセット
リールの分解に必須の精密ドライバーです。
リールのネジ山を舐めないよう、真上からドライバーを当て、先端をネジ山に強く押し付けながら回しましょう。
【日本製紙クレシア】キムタオル ブラウン ポリパック
分解したパーツはペーパータオルの上に乗せて、脱脂剤を吹きかけながら汚れを落とします。
びっくりするほど真っ黒な汚れが出るのがわかります。
スピニングリールオーバーホール手順
スピニングリールのオーバーホール手順を説明します。
あくまでも自己責任ですが、オーバーホールの手順を紹介する動画がたくさん上げられていますので、参考にしながらチャレンジしてみてください。
ベイトリールのオーバーホール手順
ベイトリールのメンテナンス手順も基本はスピニングリールの手順と同じですが、ベイトリールには、スピニングリールにはない「レベルワインダー」と「ブレーキ(遠心ブレーキ、マグネットブレーキなど)」があります。
特に遠心ブレーキはホコリが溜まると異音の原因になりやすいので丁寧にメンテナンスし、オイルを注油します。
また、レベルワインダーのウォームシャフトは特に真っ黒に汚れたグリスが溜まる場所ですので、分解して徹底的にクリーニングします。
日頃やっておきたいリールのメンテナンス方法
オーバーホールの様な大規模な手入れは年に1回程度の頻度で行うことが推奨されていますが、日頃、釣行の度に正しくメンテナンスできていれば、リールの性能を最大限に引き出すことができます。
日常のメンテナンスの手順は、シャワーで軽く冷水を掛け、塩やホコリを洗い流し、陰干しで十分乾燥させたあと、ラインローラー、ベイル、スプール軸受けなど、取扱説明書に指定された箇所に注油します。
メンテナンスに必要な道具
日常のメンテナンスにおすすめの道具を紹介します。
【AZ】狭所用オイラー 15ml 極細針
15mlのオイルを収容し、内径0.3mmの極細針で、ハンドルノブの隙間やラインローラーのベアリング部など、隙間がほとんどない箇所へも楽々注油できます。
スピニングリールのメンテナンス手順
スピニングリールの釣行後のメンテナンスについて説明します。
まずはドラグを締め、冷水シャワーをゆるく掛けながら、リールについたホコリや塩を洗い流します。
ラインローラー部には特に塩が溜まっていますので、よく洗い流します。
防水ドラグでないモデルは、ドラグノブ部には水を掛けないようにします。
その後、陰干しさせたあと、取扱説明書に指定された場所にオイルを少量注油します。
ベイトリールのメンテナンス手順
ベイトリールもスピニングリールと基本は同じです。
ドラグを締め、全体に冷水をかけ、ホコリや塩を洗い流します。
スプールを外して陰干しで十分乾燥させたら、レベルワインダーやスプールフランジ部などを綿棒で丁寧にクリーニングして行きます。
その後、取扱説明書に指定された箇所にオイルを少量注油します。
メンテナンスの頻度
これらのメンテナンスが正しく行われていれば、リールは新品時の状態を長く発揮してくれるはずです。
自分の頼れる相棒ですので、メンテナンスには手間暇を惜しまず、釣行のたびに必ずやっていただきたいですね!
リールのオーバーホールのまとめ
いかがでしたでしょうか?
今回、釣りラボでは、「リール保管に大切なオーバーホールとは?料金や自分でやる際の手順を解説」というテーマに沿って、
といったことをご紹介してきました。
他にも、釣りラボでは、釣りに関連する様々な記事をご紹介しています。
もし、釣りに関してまだ知りたいことがあれば、サイト内検索をご利用いただくか、ぜひ関連する他の記事をご覧ください。
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。