川に住む魚の代表格であるイワナ。その中でも、源流に潜むことが多いヤマトイワナは絶滅危惧種になっています。今回、釣りラボでは、ヤマトイワナの分類、分布、生息条件や、他のイワナとの見分け方などを紹介していきます。
ヤマトイワナの特徴・生態
ヤマトイワナとは、イワナ種の日本の固有亜種です。
外来種との交雑によって個体数が減少しており、日本国では絶滅危惧種に指定されています。
ここでは特徴・生態について紹介します。
ヤマトイワナの分類
ヤマトイワナは、サケ目サケ科イワナ属に属するイワナの亜種です。
イワナの亜種は4つあります。
ヤマトイワナの他には「アメマス」「ニッコウイワナ」「ゴギ」があります。
ヤマトイワナは1961年にSalvelinus leucomaenis japonicusと学名がつけられました。
ヤマトイワナの見た目・形状
ヤマトイワナはイワナの中でも見分けやすいのが特徴です。
ヤマトイワナの見た目は体側に赤や黄色の斑点があり、白い斑点がないことが大きな特徴となっています。
体の下側にオレンジの斑点が入ることが多いです。
ほとんどの体長は20~30㎝程度ですが、大きいものは35㎝以上になることもあります。
ヤマトイワナの分布
ヤマトイワナは神奈川県相模川以西の本州太平洋側全般、静岡県の天竜川や大井川、琵琶湖の流入河川や紀伊半島に分布しています。
15℃前後の水温の低い河川上流域が生息地となっています。
ヤマトイワナの中でも紀伊半島に生息する個体群は「キリクチ」と呼ばれています。
キリクチは世界最南限に生息するイワナ類といわれています。
ヤマトイワナの生息条件
ヤマトイワナは標高の高いところに生息する山地性の淡水魚で、水のない最上流域でも生息できます。
また、標高の高いところのため夏場でも水温が15℃を上回らない場所を好みます。
水のない地域でも生きるために水生昆虫や陸生昆虫、小魚、カエルなど多彩なものを餌とし、捕食します。
ヤマトイワナの釣り方
ヤマトイワナは長野県の王滝川や開田高原で釣ることができます。
ルアー釣りでも釣ることができますが、ルアーの代わりに毛バリを使用した伝統的なテンカラ釣りも楽しむことができます。
また動物食をする魚のため、餌釣りでもヤマトイワナは寄ってきます。
ヤマトイワナの歴史
絶滅危惧種となってしまったヤマトイワナの歴史を紹介します。
かつては貴重なたんぱく源
かつて山間部に住む人達の間では、ヤマトイワナを含む川魚は貴重なたんぱく源として食べられていました。
これは山間部へ食料を運ぶ流通経路が整備されていなかったことが影響していると考えられます。
肉体を構成するうえで欠かせないのがたんぱく質ですが、海の魚の入手経路がないために、川魚から摂取するほかありませんでした。
現在よりも個体数が多かったであろうヤマトイワナは貴重なたんぱく源だったのです。
現在は絶滅危惧種
ヤマトイワナは現在絶滅危惧種に指定されています。
山間部にダムが建設されることにより生息域がおいやられたり、人為的なニッコウイワナの放流により交雑が進んだこと、また多数の人間による乱獲により純粋なヤマトイワナの数が減っています。
本流に放流する活動も行われていますが、依然としてヤマトイワナをとりまく環境は厳しくなっています。
釣り上げてもキャッチ&リリースを基本としてください。
養殖は難しい
ヤマトイワナの養殖は難しいといわれています。
これはヤマトイワナの成長速度が他のイワナよりも遅く、また需要もそれほどないため販売価格が養殖の労力に見合わないためです。
天然のヤマトイワナは釜無川や木曽川に見られますが、ニッコウイワナとの交雑が進んでおり、純血のヤマトイワナは減少傾向にあります。
そのため稚魚を入手しづらく、飼育することも難しくなっています。
しかし、長野県木曽川ではヤマトイワナの養殖をし、幼魚を放流する活動がされているようです。
ヤマトイワナの見分け方とは?
ここではヤマトイワナの見分け方を紹介します。
ヤマトイワナは体側に朱点や黄点があり、白い斑点がないことが大きなポイントとなっています。
画像とともに紹介していきます。
ニッコウイワナとの違い
ニッコウイワナは本州全土に分布するイワナです。
白斑が頭から尾にかけて点在するのがヤマトイワナとの違いです。
ヤマトイワナとの交雑が問題となっているのがこの魚です。
比較的入手が容易で、イワナのなかでも養殖が盛んなのがこのニッコウイワナです。
コギとの違い
コギは中国地方に分布します。
白斑は頭部まで至り、頭部の白斑が点ではなくやや長く伸びているのが特徴です。
ニッコウイワナとよく似ていますが、白色点が吻端までかかっているところで見分けられます。
アメマスとの違い
アメマスは北海道から太平洋側は山形以北、日本海側は千葉以北に分布しています。
乳白色の斑点がみられます。
見た目はイワナと同じようなものから、赤みがかった個体や青みのある個体もいます。
阿寒湖の個体は黄金アメマスと呼ばれ、金色の体色をしています。
エゾイワナとの違い
エゾイワナは上記のアメマスと同じ魚ですが、陸封型のアメマスがエゾイワナと呼ばれます。
アメマスよりも乳白色の斑点が小さいといわれています。
アメマスと比べると比較的体長が短いものが多いようです。
オショロコマとの違い
オショロコマは別名カラフトイワナとも呼ばれ、北海道の南部を除く全域に生息しています。
腹部はオレンジがかっており、その上には赤やオレンジの斑点が尾に向かっています。
繁殖期の婚姻色で、腹部が朱色に変化します。
オショロコマも開発による個体数の減少で絶滅危惧種に指定されています。
ヤマトイワナのまとめ
いかがでしたでしょうか?
今回、釣りラボでは、「【絶滅危惧種】ヤマトイワナの特徴や他のイワナとの見分け方を徹底解説!」というテーマに沿って、
といったことをご紹介してきました。
他にも、釣りラボでは、釣りに関連する様々な記事をご紹介しています。
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最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。