海釣りの定番の活きエサと言えばイソメですよね。今回、釣りラボでは、そんなイソメの付け方のコツや、生態・特徴といったイソメの基本について詳しく解説していきます。イソメの入手方法や保存方法なども合わせて紹介していますので、ぜひご覧ください。
イソメとは?
イソメとは、環形動物門多毛綱イソメ目に分類される生物で、細長い体を持ち、多くは砂中に自らの粘液で作った管状の巣を作って生活しています。
日本では、イソメ目に属する生物は19種が存在しますが、そのうち、深海に生息するサンゴイソメや、体長1mを超えるオニイソメ以外のものが釣りの餌として利用されています。
釣りエサとして商業利用されているものは、岩イソメ、アオイソメ、石ゴカイ、コガネムシ、アオコガネ、エラコなど数種となります。
一般的な釣具店で通年普通に入手できるものは、アオイソメ、岩イソメ、石ゴカイ(ジャリメ)の3種となります。
海釣りの定番イソメの特徴・生態
海釣りで定番の虫餌としては、入手性の観点から、アオイソメ、岩イソメ、石ゴカイ(ジャリメ)の3種となります。
このうち、石ゴカイ(ジャリメ)はイソメではなくゴカイ科に分類される別の生物です。
岩イソメは、全長30cmくらいまで成長する大型のイソメやで、沿岸の礫や岩に穴を開けて巣を作ります。
岩イソメは成長が遅く、成長するのに3年ほどかかるため、商業養殖は成立しておらず、流通するものは国内採集個体か中国からの輸入品です。
あまり活発に動くイソメではありませんが、非常に匂いの強い体液を出し集魚効果が高いため、カレイやアイナメなどの特効餌とされています。
アオイソメは別名朝鮮ゴカイとも呼ばれ、韓国、中国から養殖個体が毎日大量に入荷します。
抜群の入手性とイソメ類で最も安価であることより、海釣りの餌として最も使われていると言えるでしょう。
魚の嗜好性も抜群で、ほとんどの魚に使えます。
また、針に刺したあともしばらくは活発に動くため、アピール性も高く、万能餌としての地位を確立しています。
石ゴカイ(ジャリメ)は、全長10cm程度の小型のゴカイで、日本国内で商業養殖が確立しています。
また、河川汽水域の河岸の砂底や沿岸の砂地に生息しており、採取することもできます。
粘度の高い体液を出し、生命力が強いため、針に刺したあとも活発に動きます。
ハゼやシロギスの特効餌とされています。
イソメは夜釣りで大活躍!
イソメは体内に発光器官を持っています。
アオイソメは特に発光が顕著で、夜釣りで威力を発揮します。
アナゴ釣り、スズキ釣り、メバル釣りなど、夜釣りイソメはアオイソメに圧倒的なアドバンテージがあります。
ゴカイとの違い
イソメとよく似たゴカイとの違いは、ゴカイはサイズがほとんど決まっているのに対し、イソメは同じ種でも太さや長さに著しく差があります。
そのため、イソメ類はサイズごとに選別されて釣具店で売られています。
イソメは(大)(中)(小)など、3サイズほどに分けられているので、対象魚に応じて使い分けることができます。
カレイ、イシモチ、アイナメ狙いなら迷わず(大)、ハゼやシロギス狙いなら(中)を買っておけば良いでしょう。
イソメで釣れる魚の種類例
イソメは海釣りでは最も対象魚種の多い餌のひとつです。
入手性が良く、価格も安く、使い勝手も良いイソメ類は海釣りのシーンでは欠かせない活きえさです。
キス
シロギスの特効餌は石ゴカイ(ジャリメ)ですが、アオイソメでも十分釣れます。
細身のアオイソメを、タラシを2〜3cm以下にして小さくつけます。
アジ
特に夜釣りでアオイソメをキャストすると効果があります。
ジグヘッドに5cm程度の長さにしたものを一匹刺し、アジングと同じやり方で誘います。
アオイソメが活きている間はワームよりアジの反応は良いですよ!
スズキ(シーバス)
春から夏の新月の夜「バチ抜け」という、イソメやゴカイ類が産卵のために海底から抜け出して水中を泳ぎ回る現象があります。
このバチ(イソメやゴカイ類)を捕食するシーバスにはアオイソメが最も効く餌となります。
サビキ
サビキ釣りは、コマセカゴにアミコマセなどを詰めたものを仕掛けに取り付け、スキンという薄いゴムやハゲと呼ばれる魚皮を針に付けたサビキ仕掛けを落としてアジやサバ、イワシなどを狙う釣りです。
このサビキ針にイソメをつけておくことで、メジナやカサゴ、アイナメなども一緒に狙うことができます。
ヒラメ
ヒラメを狙う際は、強烈な匂いを放つ岩イソメと、動きでアピールするアオイソメのミックス房がけで狙います。
餌は海底から50cm程度上のレンジをゆっくり引き続けます。
底をズル引きしてしまうと食ってきませんので、必ずボト厶から上を泳がせましょう。
うなぎ
うなぎは岩イソメを房がけにして駆け上がりの部分にぶっ込みます。
うなぎ狙いの場合は、仕掛けを投入したあとは置き竿で問題ありません。
イソメの入手方法
岩イソメとアオイソメは通常釣具店で入手できます。
アオイソメに限って言えば、有名な釣りスポットのそばにあるコンビニエンスストアでも売っていることがあります。
また、通販でも購入できます。
イソメの値段・相場
アオイソメは10g100円前後、石ゴカイ(ジャリメ)は10g150円前後、岩イソメは10g200円前後でしょう。
イソメの購入場所・買い方
大手釣具量販店や釣り餌専門店、釣り船屋などでは、イソメはグラム単位の量り売りで買えます。
その他の釣具店や有名な釣り場近くのコンビニエンスストアでは、予めパックされたイソメが冷蔵庫に入って売られています。
量り売りで購入する際は、餌箱持参でイソメだけを買い、必ずおがくずや砂を入れてもらいましょう。
イソメだけを餌箱に複数匹入れるとイソメがストレスを感じて体液をたくさん出し、その体液で周りのイソメが弱ってしまいます。
【活きエサ】青虫 1パック500円分
中国からの養殖アオイソメです。
用途に合わせて(大)(中)(小)を使い分けましょう。
採取できる時期
イソメ類は基本、通年採取できます。
大潮の日の干潮時に、磯などの浅場の石や岩をひっくり返して、下の砂利や砂を掘り起こして採取します。
採取する際の注意点
漁業権が設定されている海域では、原則生物の採捕が禁止されていますので、都道府県が発行する水産地図などで必ず確認しましょう。
漁業権の設定有無がわからない場合は、むやみに掘らないほうが無難です。
イソメの付け方・仕掛け方のコツ
イソメの付け方にはいくつかありますが、食い込みを重視するか、アピールを重視するかにより、刺し方を変えます。
体液でヌルヌルし刺しづらい場合は、石粉と呼ばれる石灰石の粉末や砂をまぶして滑り止め処理すれば刺しやすくなります。
イソメに噛まれても大丈夫?
イソメ類は針に刺す際、頭の先にから2本のアゴを出して抵抗します。
アオイソメや石ゴカイは痛くなく、怪我をすることもありませんが、アゴの力が強い岩イソメは注意です。
手を切ることもあります。
虫が苦手な人はパワーイソメがおすすめ
虫エサがどうしても触れないと言う方は、人工イソメを使うと良いでしょう。
【マルキュー】パワーイソメ(中)桜イソメ(夜光)
生分解性ゴムに魚が好む匂いを放つ保存液を含浸させた人工イソメです。
魚の嗜好性は、生イソメと遜色ありません。
イソメを使ったおすすめの釣り方
イソメはどんな釣り方にも対応できます。
対象魚種に応じて、サイズや刺し方を使い分けましょう。
投げ釣り
投げ釣りでイソメを使うシーンは大変多いです。
シロギス釣り、ハゼ釣りの場合は、原則通し刺しです。
針に沿ってイソメを通し、針先を必ず出し、タラシを3cm以下にして小さくつけます。
カレイ、イシモチ、ロックフィッシュ(アイナメなど)狙いの場合は、アピール重視で岩イソメやアオイソメなどの大きな個体を2~3匹房掛けにします。
ヘチ釣り
クロダイのヘチ釣りの場合は、太めの岩イソメを一匹通し刺しにします。
アイナメやカワハギ、メジナが突っついてくることもあります。
ウキ釣り
ウキ釣りのシーンでもイソメを使う場面は非常に多いです。
ウミタナゴやメジナなど口の小さい魚の食い込み性重視であれば、針のサイズ程度に小さく切ったものを通し刺しにします。
小さなベラやネンブツダイなど、エサ取りの邪魔が多い時は、針持ち重視で縫い刺しにします。
ボトムでカサゴやアイナメを狙う場合はアピール重視で房掛けにします。
イソメの保存・保管方法
イソメが余ってしまった場合、すぐに次回の釣行が予定されている場合は持ち帰って保存しますが、ほとんどの場合、他の釣り人にあげてしまうのではないでしょうか?
釣り場ではお互い譲り合いの気持ちが大事ですので、使わない餌は欲しい人に使ってもらうのが良いと思います。
間違ってもその場に放置したり、ゴミ箱に捨てたり、下水道に流したりしてはいけません。
一回の釣りにイソメはどれくらい持っていくべき?
一回の釣行に必要なイソメの量は、何をターゲットにするかで決まります。
房掛けメインのカレイ釣りなどの場合は、一日100gでは全く足りませんが、ハゼ釣り、シロギス釣りなどのように、小さく切って針につける釣りの場合は、50gで一日間に合う場合もあります。
目安としては、房掛けなら1時間当たり30~40g程度、それ以外であれば1時間当たり10g程度でしょう。
イソメの保存・保管方法
以下、余ってしまったイソメの保存方法を紹介します。
1~2日程度の保管の場合は、活きの良いイソメを選別し(死んだイソメ、活きの悪いイソメをすべて取り出して)、濡らした新聞紙で包んで冷蔵庫に入れれば2日程度は生きています。
また、海水と同じ塩分濃度の水(3.4%前後)もしくはペットショップで手に入る「人工海水のもと」があれば、1~2週間生かしておくことも不可能ではありません。
それ以上保存する場合は、塩イソメにして保存します。
クーラーボックスでの保存方法
釣りをしている間は、クーラーボックスからなるべくイソメは出さないようにしましょう。
ただし、餌付けのたびにクーラーボックスを開けるのは保冷効果の低下につながりますので、例えば30分で使う分など、ある程度まとまった量を取り出して、餌箱に入れておきましょう。
保冷効果がなくなってしまったら速やかに氷を追加し、クーラーボックスを冷やしましょう。
その際、氷の上に餌箱を直置きしてはいけません。
冷蔵庫での保存方法
塩イソメを作る方法を紹介します。
この状態なら、冷凍保存も可能になります。
イソメの飼育方法
海水と同じ塩分濃度の水を潤沢に用意でき、飼育床となるきれいな砂、水を循環させる濾過器、酸素を供給できるエアレーションができれば、短期間であれば飼育もできます。
ただし、毎日観察し、死んでしまったイソメは速やかに除去する(死んだイソメが出す体液で他のイソメが次々と死ぬ)、水はマメに交換する(水が蒸発すると塩分濃度が上がりすぎて全滅してしまう)、など、大変な手間がかかります。
長期飼育に成功している人は聞いたことはありませんが、研究のため大学などの学術機関で飼育している例はたくさんあります。
【海釣り餌の定番】イソメまとめ
いかがでしたでしょうか?
今回、釣りラボでは、「【海釣りの定番】イソメの付け方や仕掛け方のコツ、特徴などを徹底解説!」というテーマに沿って、
といったことをご紹介してきました。
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最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。